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統計で見る岡崎図書館(平成12年度資料から)


平成12年度の統計資料を基に岡崎図書館の客観的な図書館像を提起してみた。
併せて、三河地方で人口30万人を有する当面の「ライバル」でもある豊橋市豊田市の図書館を紹介することでより比較検証できるものと思う。
豊川市を例に挙げたのは三河地方比較的図書館に力を注ぐ自治体としてその指数をもとに検証してみる価値があると思ったからである。
なお、岡崎図書館の詳細な報告は岡崎図書館発行「2000年度版岡崎図書館」に記載した。



1.図書館予算と建物

注:はその最高値を示し、はその最低値を示す
 予算は平成12年度の各図書館発行の年次報告誌より
図書館建物は岡崎市「新図書館特別委員会」資料より

  岡崎 豊橋 豊田 豊川
人口   337,586 366,707 348,671 116.684
予算
(千円)
一般会計予算(平成12年度) 94,299,750 108,028,000 127,040,000 34,960,000
図書館予算(平成12年度) 348,952 460,420 695,603 259,206
図書館予算/一般会計予算 ×100 0.37% 0.42% 0.55% 0.74%
一人当たりの図書館予算 1.033 1.255 1.995 2.221
図書館建物 建築年 1971 1983 1998 1999
床面積 F
2,580
5,655
12,566
5,029
収容能力冊数
-
50万冊
155万冊
45万冊
開架冊数
19万冊
18万冊
35万冊
15万冊
開架冊数/床面積 F
73.6
31.6
27.9
29.8
職員
15
22
34
11
駐車場
95
60+グラウンド
197
120

図書館予算

豊田市の裕福さがひときわ目に付く。
人口にたいする一般会計予算の高さがそのまま図書館予算にあらわれている。
岡崎の図書館予算は同規模の人口を有する豊田市の約半分であるが、これは岡崎の図書館予算が一般会計予算の割合(0.37%)が低いことも要因しているではないだろうか。
仮に0.5%を図書館予算に当てると4億7千万円 (一人当たり1,591円)の試算にもなる。このあたりは行政の図書館の認識と、館長の行政手腕によるところが大きい。

豊川市の図書館予算の比率0.74%は傑出していてる。この数値は浦安(1997年度0.72%)とほぼ同レベルにある。
一人当たりで見てみれば岡崎は豊川の半分以下の予算ということになってしまう。
昨今行政改革としてその矛先を図書館の予算に向けるような風潮が見えるが、これは図書館が果たす効果を認識していないものだ。現在最も声高に唱われる生涯学習、ITによる情報リテラシーと情報格差が貧困の要因を生むという命題に図書館は大きな役割を担うべき時代的なニーズがある。この図書館にどれだけ予算を当てられるかということはその首長の文化施策の反映なのだから。
なお、岡崎の今年度(平成13年度予算)を調べたものと併せて見ていただきたい。

図書館建物

ここ2、3年で新築された豊田、豊川と築後30年を経過した岡崎とを較べるのは少々酷かもしれないが、歴然とその数値に格差がある。
問題は規模ではなくスペースにある。狭い岡崎ではもはや蔵書スペース及び開架スペースは限界に入っている。
開架冊数/床面積ではダントツの密集値(73.6)を示した 。
狭いキャパシティの中でも図書を購入し続ける使命があるのは当然だが、なぜ本館ばかりに集中させたのかが問題。
なぜこの役を地域図書室(市民ホーム等)の整備による蔵書の分散化に委ねなかったのか。
そのため、本館は開架スペースの増加により、読書環境としてのスペース、コミュニティとしてのスペースは忘れられてしまった。同時に地方分館の整備をないがしろにしてきたため図書館ネットワークの構築がないいまま今日まできてしまった。
本館一局集中、地域図書室の未整備、この功罪は大きい。このことを改善するための施策がうてなかった図書館行政の失敗でもある。
このことは、新たな図書館が建設しても状況はかわらない。新図書館建設の動向に目を向けるのと同時に今ある市民センターを中心とする地域図書室の整備と拡充がぜひとも必要になってくる。
これらの地域図書室が分館レベルまで整備されなければ 本当の意味において身近な図書館は実現しない。

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2.利用状況

注:はその最高値を示し、はその最低値を示す
  平成12年度の各図書館発行の年次報告誌よる平成11年度実績

利用状況 岡崎 豊橋 豊田 豊川
市民一人当たり 蔵書冊数 蔵書冊数/人口 1.3 2.1 2.7 1.4
貸出冊数 貸出冊数/人口 3.2 3.8 7.0 4.7
資料購入費 資料購入費/人口 - 212円 606円 377円
登録率 登録者数/人口×100 22.5% 41.5% 26.1% 24.6%
登録者一人当たり 蔵書冊数 蔵書冊数/登録者 5.8 5.1 5.3 6
貸出冊数 貸出冊数/登録者 14.4 9.1 13.4 19.1
資料購入費 資料購入費/登録者 - 510円 1157円 1223円
蔵書回転率 貸出冊数/蔵書冊数 2.48 1.8 2.55 3.18
A. 本館及び中央館貸出冊数 897,885 921,712 1,278,725 547,607
B. 分館、地方館、BM、地域図書室貸出冊数 255,850 468,047 1,161,243 -
C. 全館貸出冊数合計 (A+B) 1,131,735 1,389,759 2,439,968 547,607
D. 分館、地方館、BM、地域図書室貸出利用率
(B/C)×100 
( )はBMを除いた地域図書室の貸出利用率
22.6%
(7.9%)
33.7% 47.6% -

登録率

図書館を利用してもらうためにはまず登録してもらわなければならない。これが図書館を利用する前提でもある。
したがった登録率を見ることでその町の人々の図書館に対する認知度をはかることができる。
この点では豊橋の41.5%というのは驚異でもある。
なぜ豊橋はこのような高い登録率を誇るのか。 一般に人口10万人程度の地方都市ではこのような高登録率を誇る都市もあるが(刈谷54.1%、半田48.3%)30万人を超える大都市では珍しいことではないだろうか。
この点について検証してみる価値はありそうだ。

岡崎の登録率22.5%は決して高くないことがお分かりいただけると思う。なぜか。
それは、本館で作った登録カードでは自動車文庫(BM)以外の他の地域図書室(市民ホーム等)では利用できないからではないか。
また、地域図書室が十分整備されていないことによる利用低下と本館とのオンライン化がなされていないがためのサービス低下と効率の悪さが一因していると思われる。
地域図書室と本館とのオンライン化ができていないということは、同一カードによる同時利用ができないことを示す。そして本館で借りた本は地域図書室で返却することも、その逆もまた出来ないことを示す。 つまり利用客は本を借りる場合、本館用と地域図書室に2つの登録カードを取得し、使い分けえを強いられることになる。これでは面倒であり、いきおいどちらかの利用にか偏ることを意味する。本館でも地方分館でも共通して使えるカードでなければ持っている意味がないと思うのは当然ではないだろうか。

地域図書室の充実と本館とのオンライン化による連携は、もうだいぶ前から言われ続けてきたことであるが、ここ岡崎ではないがしろにしてきた。
登録率の低さはは需要の低さを示すものではなく、地域図書室の整備と本館とのオンライン化を遅らせた当然の結果なのかもしれない。



分館、地方館、地域図書室貸出利用率

岡崎では本館に対して、分館、地方館と呼べる施設はない。
太陽の城、働く婦人会館、あるいは市民ホーム内に併設した地方図書室というものがこの代わりとなる。
蔵書はBMを除くと全地域図書室9ヶ所を合わせて約6万冊。
形骸化した岡崎の地域図書室というものを如実にあらわしているのが20.6%という利用率。
これはBM(143,733冊)も入っての数値だから実際の地域図書室での利用冊数というのは90,117冊になる。
これは利用率から見ると全体の貸出冊数のわずか7.9%にすぎない。
つまり岡崎市内の本館から離れた平均的な利用者の100人に92人は、本を借りるときには近くの地域図書室があるのにもかかわらず本館に出向いているという事実。近くの地域図書室を利用価値は見いだせないとして、車などの輸送手段で本館にまでやってくるのである。
これでは本館の駐車場がいくらあっても足りないというものだ。いつも満車の駐車場で閉口している訳である。

この原因は登録率でも述べたように地域図書室館の整備遅れと、本館とのオンライン化施策をしてこなかったことに起因している。各市民ホームを調べていくと、とても図書室と呼べないような環境の悪さにあきれることもしばしである。新刊もまわってこないようなところを地域図書室などと呼べるものなのか、ただ昔の本が置いてあるかのような状況をさして地域図書室と言うのは甚だ問題である。ここには図書館行政というサービスが存在していないかのような錯覚を覚える。

学校帰りの学生が自習することはあっても、大人がここにきてくつろいで読書し、本を借りていこうとはとても思わない。とにもかくにも読みたい本とて存在しないのだから。
この地域図書室の整備おくれは決定的でもある。
新図書館建設に多額な費用を費やすのであれば、少しはこちらの現状を認識して、地域図書室の整備に予算を振り分けてもいいのではないかとも思う。
地域図書室を分館レベルまでおしあげるような整備を施さない限り、本当に意味で身近な図書館は有り得ないはずである。
今年度岡崎はこの地域図書室と本館とのオンライン化にすべく具体的な作業を進めるはずである。
オンライン化すべき対象は本館、地域図書室は当然であるが、市内の公立学校、保育園等、教育施設、文化施設にもその網を張り巡らすことがよりシステムを機能的に使いこなすことになることになろう。
その相乗効果は図書館の利用を飛躍的に進歩させる。この点では隣接と豊田市とは何年も遅れをとっていると言わざるを得ない。

岡崎と対象的な数値を示したのは豊田市の図書館ネットワークである。
豊田市は中央館とは別に6つの別館(コミュニティセンター内)と17の分室がある。
これらを合わせた地域図書館の利用冊数は本館にもせまる数字をあげている。
これは地域の分館、分室がその需要に見合う設備と環境を有していることを示していると同時に、本の貸出利用だけならば分館、分室で事足りるというシステムが定着していることを示しているのではないだろうか。それは相互ネットワークを配した図書館ネットワークの機能が生活環境に根ざしていることを意味する。
本館とのネットワーク化、分館、分室同士のネットワークが進んでおり、どこの分館でも貸借ができるし予約することも可能である。端末上から本の所在、貸出状況を把握することができるため、例え分館になくとも本館から本を取り寄せることが可能である。わざわざ中央館に足を運ぶ必要はないのである。身近な図書館というものを確立させている。本来の図書館の利用というものに重点を置き整備とオンライン化によってその機能を果たしている。

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