赤沢岳〜丸山・左岩稜〜富士ノ折立〜剱岳 2004年12月23日〜2005年1月4日 M 長坂心 上田幸雄 12/23 晴れ時々曇り 日向山ゲート(11:10)〜扇沢(13:10)〜大沢小屋(14:50) 富山は昨夜、初雪が降った。薄っすらと雪化粧した街をあとにして各駅停車で大町へ。 大町は初雪まだらしい。ゲート周辺に雪は無く、対岸の日陰の所に薄っすらと残っている 程度。ぽかぽか陽気だったが扇沢が近づくと風も出てきて寒くなる。時折業務車両が通る が載せてくれるはずも無く、とぼとぼと歩みを進める。 積雪は扇沢で5〜10cm程度。大沢小屋の周辺で20〜30cm程度。 冬季用の入り口は見当たらず小屋の横にテントを張る。 12/24 晴れ 出発(6:50)〜屏風尾根2206m(12:00)〜2494m(15:00) 出だしから急登・藪こぎ。所々傾斜が落ち、藪も薄くなるが3週間分の食料で膨れ上がっ たザックを荷揚げするのはしんどい。途中から空身ラッセルに切り替える。2206mを過ぎ ると藪は少なくなるが、新雪が増えるのでラッセルは深くなるばかり。 赤沢岳を越えたかったが、稜線まで登るのがやっとだった。 12/25 快晴 出発(7:20)〜赤沢岳(8:30)〜赤沢出合(13:00)〜左岩稜末端(14:50)〜 2pフィックス終了(16:20) 赤沢岳までの稜線は雪が締まっていないので、思っていた以上に時間がかかる。 北西尾根は樹林帯に入ると雪が深くなりワカンを履いたが2200m付近の急斜面からアイゼ ンに履き替える。下るにつれ雪が少なくなり以降アイゼンで赤沢出合まで。前回下降した ときは忠実に尾根を下降して最後は懸垂となったが、今回はあまりのブッシュに嫌気がさ して途中から右の沢へルートを求める。雪が無いので雪崩の心配は皆無。ただ滝が現れな いことを祈るのみ。幸い歩いて黒部川の河原に降りることができた。 赤沢出合で対岸に飛び石で渡渉し丸山・東壁基部まで進む。壁は真っ黒。とりあえずフィ ックスしに行くが1P目はじゃんけんで長坂。2P目はオラの番。ブッシュとドロ壁にア ックスを決めて登る。ここは夏も残置がなくいやらしかった。 12/26 雪 出発(6:30)〜3P目(8:00)〜洞穴(17:30)〜9p目フィックスして下降 昨夜からの雪は30〜40cmほど。テントも半分ほど埋まっていた。暖かいはずだ。 昨日のフィックスをユマーリング。 3p:人工で直上・トラバースして大木まで 4p:木登り〜人工〜雪壁 5p:左から回り込んで木登り〜スラブ〜雪稜 6p:雪稜〜大テラス〜ブッシュのスラブを左上 7p:スラブをハーケン・ボルトの人工で凹状壁内へ 8p:ハング下の凹状壁をフリーで洞穴まで 9p:洞穴横を人工で大テラスまで 大テラスは石だらけで整地できそうもないので、洞穴に無理やりテントを押し込む。 北西尾根にヘッドランプの明かりが見えたそうな。松本CMCだったらしい。 12/27 雪 出発(6:20)〜16p目終了点(16:30)〜岩屋(18:30)〜終了点から2p登る(22:30) 昨夜は月も出て晴れていたのに朝になると雪が降り始める。結局、終日雪模様。 10p:凹状部をほぼフリーで登り20mで左のテラスまで 11p:洞穴を潜り抜けてテラスへ 12p:人工で左上し雪壁を登る 13p:凹部の岩を登り右にトラバース。岩屋を横切る。岩屋は傾斜していて使えない。 横のテラスならなんとかテントが張れそうだ。 14p:左上木登り 15p:左上トラバース チムニー下まで 16p:チムニーから右壁を人工 17p:ブッシュ帯を直上〜右のルンゼ〜左上。荷揚げにかかる頃にはもう真っ暗。 18p:直上すると岩屋に出る。岩屋は平坦だが天井が低いのでテントは張れない。 仕方なくテントの張れる所まで頑張ることにする。 19p:左上トラバース。東壁ルンゼ手前まで 20p:左から大きく巻いて右上トラバース。夏の終了点まで 21p:35mでテントの張れる所があるが、傾斜が落ちているのでもう1p伸ばしてみる。 22p:20mで露岩に突き当たる。丁度格好のサイトを発見。 すでに時間は22時30分、さすがに疲れた。 12/28 晴れ 出発(8:50)〜丸山・北峰(13:40)〜主峰(15:30) 昨夜は残業だったので明るくなって起き出す。 雪が深いのでワカンで歩き出すが、すぐにアイゼンに履き替え左の雪壁から露岩を巻く。 そのあともワカンとアイゼンを履き替えながら進むと最後の露岩に突き当たり、さらに 1pロープを伸ばすと岳樺の緩やかな雪尾根と変わり僅かのラッセルで北峰頂上に到着。 主峰へのラッセルも空身で対応。樹林帯の快適なサイトで就寝。 12/29 雪次第に強くなる 出発(7:00)〜2279m峰(10:30)〜丸山中央山稜2400m(14:00) 相変わらずラッセルが深く今日も空身ラッセル。最低コルから2279m峰への登りは尾根が 判然としないので藪を避けて適当に登っていく。2400m付近から始まる急登の手前で幕営。 テントを張る頃には本当に吹雪いてきた。 12/30 雪 停滞 昨夕から激しく雪が降っていたのでテントは埋没。8時すぎに起き出し、除雪をして朝食 を摂るが、次第に雪も風も弱まっていく。 昨夜、今日は停滞と決め込んでしまった。これが良かったのか悪かったのか・・・ 12/31 雪 停滞 4時半に起床。月も出ていて後立山もくっきり見えているが風が強い。 沖縄に発生した低気圧が太平洋側を駆け抜けて行くらしい。夕方から今期一番の寒気が入 ってきて冬型の予報。 今日、どこまで登れるか分からないが明日の行動は出来ないだろうと予想し、雪洞を掘る ことが出来ないと厳しい状態になるので行動を中止する。結局、風が強かったのは明け方 だけで、1日中雪が降っていたが風が弱いのでテントは埋まってしまった。 昨日、行動していれば今日にも剱御前小屋まで行けたのではないかと思うが、全ては結果 論にすぎない。判断の難しさを痛感する。 3時頃除雪をしてテントに入るとラジオが医薬大遭難のニュースを伝える。加藤が雪庇を 踏み抜いて落ちたらしい。何とか生きていて欲しいと願うが最悪の結果を考えざるを得な い。明日から今期一番の寒気が入ってくるらしいが、外れて欲しい。自分達のためにも・・・ とにかく安全に下山することが第一。明日の好天を祈るのみ。 1/1 風雪 出発(11:20)〜2630m(15:30) 朝の予報では午後から冬型が緩むらしい。しかしラジオではさらに医薬大の2名が行方不 明と報じている。加藤滑落の後、OとTが捜索に向かったみたいである。何も出来ないの が歯がゆい。 除雪をしてテントに戻ると天候が回復してきたので、あわてて出発するが天候は急変し風 雪が激しくなる。やはり擬似好天だった・・・ 雪は殆ど降っていないが風が強く寒い。2550mまでは雪尾根のラッセル。時折雪崩を起こ しながら頭上の雪を掻き落とし進む。2550mからは岩稜となるが途中のコルを整地してサ イトとする。もう1時間くらい登れば2725mの平地と思われる地点に出られるがあまりの 寒さに耐えられず、テントを張る。しかしコルへの吹き上げの風が強くテントの中も寒く てかなわない。 1/2 風雪 出発(8:40)〜2725m(10:00)〜富士ノ折立(12:00)〜剱御前小屋(15:00) 青空が広がり始めるが風が非常に強い。2725m手前でロープから解放されクラストした尾 根を登る。真砂岳へのトラバースは雪が深くて不可能。忠実?に稜線を進み頂上へ直登す るが最後の岩場でロープを出す。ここから風雪はさらに強く地吹雪となり、目を開けてい られない。別山までは、夏道が判別出来るが、御前への下りでは吹き溜まりが多く時折腰 までのラッセルとなり、視界が良くないので時折ロープを繋いで進む。 御前の小屋の前で雪洞を掘る。無線機の調子が悪いのか警備隊と連絡が取れないものの、 携帯が繋がり自宅から連絡をしてもらう。源冶郎尾根を予定していたがテントフライの破 損、今後の悪天などから敗退を決め別山尾根に変更する。 1/3 晴れ 強風 出発(6:40)〜前剣(9:40)〜本峰(11:40)〜早月小屋(15:00?) 昨夜は快適だったが雪洞の入り口が吹き溜まり、2mほど掘り進んで外に出るが風が非常に 強い。日本海に低気圧が入っている為だが、気温が高く晴れているのがせめてもの救いか? 御前からは医薬大?のトレースが残っている。黒百合のコルへの下降でルート選定に迷う が剱沢側は吹き溜まりでラッセルとなるので東大谷側から巻いて下降する。 前剣周辺とカニの縦バイでロープを結び本峰へ。北方稜線にもトレースが残っている。赤 谷山から来た登研パーティーだったそうだ。前剣で2600m付近を下降していくのが見え、 ラッキーと思っていたが強風で吹き溜まりにはトレースは残っていなかった。 2400mからの下降中、小屋の横でずっとこちらを眺めている人がいる。ずいぶん暇人だな あと思っていたら警備隊の柳沢さんとテレビのカメラマンだった。小屋には警備隊の上田 さんをはじめ、多賀谷さん、稲葉さん、小屋の主人の息子さん達が僕達の下山を待ってい てくれた? 1/4 雪 出発(8:30)〜馬場島(11:30) 今日も風が強い。小屋閉めをして8人で下山する。時折深いラッセルにはまりながらも、 下降するに従い風も弱まり雪も少なくなる。馬場島に着くころにはミゾレ模様。 馬場島で厚いもてなしを受けて下山した。屏風尾根2494mからの赤沢岳
赤沢岳から剱岳
赤沢岳から立山東面
北西尾根から丸山
丸山谷の氷柱
内蔵助谷出合上流
25日の東壁
5P目を荷揚げする長坂
6P目を荷揚げする長坂
12P目を荷揚げする長坂
岩屋をトラバース
丸山から赤沢岳・スバリ岳・針ノ木岳
丸山から剱岳
丸山から中央山稜
本峰での長坂
本峰から立山
早月小屋前でのツーショット
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