アタック編
8/9 雪
C2(8:00)〜C3(13:40) 
 夜中はすごい雷で、雪も激しく降っていたようだ。今朝も朝食を食べて待機。
天気はいまいちだが、
1)フィックスが埋まってしまい再び掘り返すのが大変なこと
2)C3のテントが潰されていないか心配
3)明日はダメでも明後日は回復するのではないか? 
以上の判断からC3入りすることにした。
 多賀さんはパッキングしたものの動悸がするから行かないと言う。
 フィックスを登り始めると次第に天気が悪くなってきた。半分、雪で潰れたテ
ントを掘り起こして潜り込む。
出発の朝
8/10 雪
 2時に起きるが雪、再び4時半に起きて朝食を食べるが雪が止む気配なし。
寒いのでシュラフに潜り込んで10時くらいまで寝る。外は明るいが常にパラパ
ラと雪が降っている。
 暑い!! 急に太陽が顔を覗かせるので、除雪に出る。しかしすぐにまた雪。
昨夜は呼吸が苦しくなかなか眠れなかったが、一晩経過すると苦しいながらもだ
いぶ楽になってきた。軽い頭痛はするが・・・

8/11 曇りのち雪
C3(6:30)〜左稜線取付手前(10:15〜10:30)〜C3(11:45)
 2時半起床、晴れているが段々天候が悪化。6時過ぎ、天候回復の兆しが見え
たので時間的に遅いがアタックに出発。歩き始めて10分ほどでクレバスに頭ま
で落ちる。100mほど斜面を登るとプラトーに出る。視界なし。時折でてくる栃
木隊の赤旗と晴れ間に助けられながら進むが、風雪となり始めたので退路を絶た
れないよう、あきらめてC3へ戻る。 身体的疲労と精神的疲労でヘロヘロだ。
明日こそ晴れてくれ!!!

8/12 晴れのちガス
C3(3:00)〜頂上(10:00)〜C3(12:45)
 1時半、目が覚める。外を見ると快晴、月が輝いている。今日しかないと思っ
た。皆を起こし出発。長坂、大森コンビで月明かりの中をガンガンラッセルして
いく。昨日のトレースは殆ど残ってなかったが微妙なへこみと短い間隔で打った
赤旗に導かれたらしい。
 僕は昨日から腹の調子が悪く下痢ピー。出すものを出してプラトーに上がった
頃には、もう二人の姿は見えなくなっている。晴れたおかげで気温が低くオーバ
ーシューズを履いてきたのに指先の感覚が無くなってくる。途中靴を脱いで指先
をマッサージする事2回。プラトーも終盤に差し掛かった頃、やっと太陽の光が
当たり始めたものの左稜線に取り付くと日陰になって寒い。おまけに風も出てき
た。
 100mほど上をラッセルしている二人にはさっぱり追いつかない。少し急な
斜面を越えると頂上かと思ったが傾斜の落ちた雪尾根が果てしなく続いている
(ように思えた)。長坂が降りてくる。寒くて僕の着くのを待っていられなかっ
たそうだ。申し訳ない!!続いて、大森も降りてくる。もう少しで頂上らしい。
 前方の視界が段々開けてくる。栃木隊の残していった赤旗が立っている。石こ
ろがゴロゴロしている平坦で広い頂上。しかし周りの山は雲がかかり始め見えな
くなっていく。いや見ようという気さえおきなかった。楽しみにしていた頂上だ
ったが「早く降りたい。早く楽になりたい。」ただそれだけだった。ザックの雨
蓋から山想会の旗を取り出しピッケルに結び付け、山頂の雪面に突き刺し写真を
撮る。たった1枚だけ。そして自分の写真も撮ってみる。
 10分も居ただろうか? とにかく周りを見渡す余裕は無かった。「寒い。苦
しい。」すぐに下山を始めるが、周りはガスに覆われ始めた。左稜線には赤旗を
打ってこなかったのでトレースだけが頼りだが、クラストした所ではルートを失
ってしまう。アイゼンの爪跡を丹念に探して進む。一瞬の晴れ間がルートを提供
してくれ、何とかプラトーまでたどり着く。長坂は早い時間に下っていったので
ルートを失ってはいないだろうが、大森のことが心配だった。プラトーのトレー
スは二人分かどうか判別できない。テントに戻るまで心配が続くのかと懸念した
が、途中で二人分のトレースを確認し、一安心。後は自分の事だけだ。プラトー
とはいえ多少は下っている。しかし、身体は動かず休憩を挟みながらでないと下
山できない。情けないほど思うように歩けない。
 プラトーを抜けると視界が良くなり、テントが見えるようになってきた。二人
がテントの周りで撤収の準備をしているのが見える。長坂とすれ違った時、「今
日中にC2に降りよう」と話していたからだ。だけど、降りたくなかった。いや
降りたかったのだが、これ以上動きたくなかったのだ。
 テントに着いて一旦は、撤収し下山を始めたが、今の身体の状態では下山途中
に滑落の可能性が無い事は否定できなかった。大森も結構疲れているようだった
し、天候も悪化してきた。長坂には悪いがテントを張りなおし、もう1泊するこ
とにした。
 あとは明日の天候が悪くならない事を望むだけだった。
ラカポシ・ディラン遠望
マルビティン
ライラ(左)・ハラモシュ遠望
スパンティークを仰ぎ見る(左の稜線が左稜線)
左稜線を登る
広い頂上
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